東京の資金循環を四層で可視化し、都民の資産形成と成長企業の資金調達をつなぐ 「国際金融都市・東京」構想2.0と金融・資産運用特区の政策に接続し、東京都のオープンデータで資金の流れを「海外 → 上場企業 → 中小企業 → 都民」の四層に分けて可視化する。各層がどれだけ連関しているかを月次データで実測し、都民の資産形成格差と成長企業の資金調達難を同じ画面の上に置く。
国債2年利回り × 都内中小企業 業況DI(24か月ずらして比較・n=231) 同じ月で並べると r=−0.03。ずらすと関係が現れます

東京の資金は四つの層に分かれています。海外投資家、上場企業、中小企業、そして都民の家計。 本サービスは各層の資金状況をオープンデータで可視化し、層と層がどれだけつながっているかを月次データで実測します。 金利と中小企業の景況は、同じ月で並べるとほとんど無関係に見えます。ところが金利を2年ずらすと、はっきりした関係が現れました。 金利は効いていないのではなく、2年遅れて効いている。橋を架ける前に、まず川幅と、水が届くまでの時間を測りました。

Layer 4 — Households

都民は一枚岩ではない

四層目の「都民の家計」を平均値でひとつの箱に描くと、いちばん大事なものが消えます。住民1人あたりの個人住民税の負担額を全62区市町村で並べると、これだけ散らばっています。所得の水準と、税を納めている人の割合の両方が効くため、地域ごとの「投資に回せる余力の出発点」の目安になります。

Layer gradient

海外マネーは、層を下るほど薄くなる

委託取引の売買代金に占める海外投資家の比率。非上場の中小企業には、そもそも売買できる市場がありません。

Deposits vs loans

中小企業に近い金融機関ほど、預金が貸出に回っていない

預貸率=貸出金÷預金。都内の銀行は%、信用金庫は%です。銀行の水準そのものは特に低くありませんが、中小企業向け融資の主力である信用金庫が20ポイント以上低い点が論点になります(東京都統計年鑑 15-1/15-2)。

Foreign capital

外国からの資金:どこから、どれだけ入っているか

日本取引所グループ「投資部門別売買状況」「海外投資家地域別株券売買状況」より。2025年は東証プライムの委託売買代金の66.2%が海外投資家によるものでした。

海外マネーの出どころ(地域別)

市場区分別 海外投資家シェアの推移

市場区分再編(2022年4月)以降の4年間。プライムは緩やかに低下し、スタンダード・グロースは上昇しています。

Policy

この資金を呼び込むために、いま何が行われているか

各施策の「取組内容」「効果」「不足」は、一次情報の要約と本サービスの実測値を突き合わせたものです。評価はデータに基づく記述であり、施策の是非を判断するものではありません。

Implication

東京の株式は、東京の外で意思決定されている

海外投資家の売買代金の75.3%が欧州経由です。これは欧州の投資家が多いという意味ではなく、海外運用会社の発注拠点がロンドン等に置かれているためとされます。国際金融都市を掲げる東京にとって、運用機能そのものをどう呼び込むかという論点に直結します。

Overview

投資環境の概要

上場企業の資金調達は、株式市場と債券市場の二つの価格に挟まれて決まります。いまはその関係が20年ぶりに逆転しています。

債券市場。国債10年 %、2年 %、10年−2年のスプレッドは pt。 国債利回りは社債・借入金利の土台になるため、この水準が上場企業にも中小企業にも調達コストとして波及します。

株式市場。東証3市場の上場会社数・時価総額・回転率・配当利回りは下の表のとおりです。 プライムの配当利回り % に対し国債10年が % で、「配当より国債」が成り立つ水準に戻りました。

その他市場。非上場の中小企業には売買される市場そのものが存在しません。株式投資型クラウドファンディング(年間上限50万円)が唯一の準市場的な経路で、規模は上の二市場と桁が違います。
Listed market

上場企業の資金:3,837社の内訳

東京都統計年鑑 令和5年 15-6 より(2023年)。会社数はほぼ三等分に近いのに、時価総額はプライムに96.1%が集中しています。

会社数シェアと時価総額シェア

売買回転率と配当利回り

グロースは配当利回り0.34%に対して売買回転率428.2%。配当ではなく値上がり益を狙う短期の市場であることが数字に出ています。

Monthly

東証プライムの月次(2023年)

時価総額と株価指数の月次推移。東京都統計年鑑で月次が揃うのは2023年分のみです。

都内中小企業 業況DI(全体)

東京都は毎月、都内の中小企業3,875社に景況を尋ねています。2005年5月から255か月ぶんが公開データとして残っている。 そのDIは20年間、一度も0を超えていません。上場市場が最高値を更新した局面でも、この線は水面下にあり続けました。

Funding demand

いま何のために、いくらの金利で借りているか

Stress

返済の肩代わりは、コロナ期を超えた

代位弁済=信用保証協会が事業者に代わって金融機関へ返済した件数。保証承諾(借りやすさ)と桁が違うため、2019年度=100 に指数化しています。

Signal map

20年 × 24業種の業況マップ

セルは各年の業況DI年平均。赤=悪化青=改善、中央の無彩色が0です。セルをクリックすると、その業種の資金タイプ判定に移ります。

The missing option

選択肢に「増資」が無い

同じ調査の資金調達手段の設問には、自己資金・借入(融資)・借入(その他)の3つしか選択肢がありません。増資も、社債も、クラウドファンディングも項目として存在しない。設問の作りそのものが、都内中小企業の資金調達がデットに限られている実態を映しています。

成長企業はどこにいるか

エクイティで資金を集める市場は東証グロースですが、都内中小企業3,875社との規模の差は歴然です。

エクイティに届くまでの段差

One more option

選択肢のひとつ:事業承継

同じ調査の付帯調査によれば、回答企業の経営者の34.1%が70歳以上、創業1980年以前が63.6%。資金調達と並ぶ選択肢として、引き継ぎも数字で見ておく価値があります。

This month

今月のファイナンス環境

四つの層の最新値を毎月そろえ、一枚で読めるようにしています。実体(中小企業)・先行き・調達コスト(債券市場)・海外マネーを同じ画面に置き、前月差から今月の環境を機械的に判定します。

The measurement

層と層は、どれだけ連関しているか

「つながっているはず」を検証します。景況DI(東京都・月次)と国債金利(財務省・月中平均)を255か月そろえ、ピアソンの積率相関係数を計算しました。

国債10年利回り × 都内中小企業 業況DI、同じ月どうしの比較(2005年5月〜2026年7月、n=255)。 ここだけ見ると「マネーの価格が動いても中小企業の景況は動かない」という結論になります。 しかしこれは時差をゼロと決め打ちした場合の数字にすぎません。下でその前提を外します。

Why the 10-year JGB

なぜ国債10年を基準にするのか

Lag scan

時差を入れて測り直す

東証プライム株価指数 × 業況DI(2023年・n=11、参考値)。 上場市場の株価と中小企業の景況も、ほぼ無関係でした。東京都統計年鑑で月次が揃うのが2023年分のみのため参考値ですが、方向は上と一致します。

Tokyo bonds as the anchor

都債を物差しにすると、何が見えるか

東京都自身が資金を借りるときの金利と、都内の中小企業が借りるときの金利を、同じ物差しの上に並べます。四つの層は「同じお金を、違う値段で借りている」。その値段の差が、層と層の距離です。

Lag

経営者の先読みは、何か月先まで当たるか

見通しDI(今後3か月の見通し)が、k か月後の業況DIをどれだけ説明するか。3か月先を聞いているのに、最もよく当たるのは1か月先でした。

Where it does connect

唯一つながっていたもの

同じ月どうしで唯一つながっていたのは、業況ではなく価格転嫁ギャップでした。金利が上がる局面で、中小企業はコストを価格に乗せきれなくなる。時差を入れて測り直してもで、この経路はほぼ即座に効いています。

横軸:国債10年利回り(月中平均、%)。縦軸:価格転嫁ギャップ(販売単価DI − 仕入単価DI)。255か月の各月を1点として描画。

Diagnosis

いま必要な資金の種類を判定する

業種を選ぶと、直近3か月の実データからルールベースで資金タイプを判定します。判定に使った数値と、その根拠を必ず併記します。

数値はいずれも「東京都中小企業の景況」の直近3か月平均。DIは「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いた値で、範囲は −100〜+100 です。

Matched instruments

適合する資金調達の形

判定タイプ・規模・使いみちから、資金調達手段の類型を優先順位付けします。個別の制度名・要件は必ず一次窓口で最新をご確認ください。

    窓口:東京都産業労働局東京信用保証協会東京都中小企業振興公社東京都事業承継・引継ぎ支援センター

    Rate gap

    いまの借入金利は、この先どうなりそうか

    Take this to the counter

    相談メモをつくる

    上で選んだ条件と判定結果を、そのまま金融機関や支援機関の窓口で使える文章にまとめます。コピーして、メールや相談予約フォームに貼ってください。数字にはすべて出典が付いているので、相手側でも検証できます。

    窓口に行く前に用意しておくもの

      必要書類は一般的な例です。制度・機関によって異なるため、最終的な要否は各窓口でご確認ください。本サービスは融資の可否や条件を保証するものではありません。

      Yield curve

      いまの利回り:国債イールドカーブ

      Tokyo bonds for residents

      起点としての「個人向け都債」

      円建て 個人向け都債の表面利率(第1回〜第18回)

      いま個人が買える都債:外貨建てグリーン・ブルーボンド

      表面利率は発行時の外貨建て利率です。円で受け取る際には為替の影響を受けるため、円建ての利回りが表の数字になるとは限りません。

      Opportunities

      投資機会の一覧

      利回りはすべて一次情報の実測値です。アクセス可否は制度の事実であり、特定の手段を推奨するものではありません。

      国債利回りは財務省「国債金利情報」、株式の配当利回りは東京都統計年鑑 令和5年 15-6、 株式投資型クラウドファンディングの上限は日本証券業協会によります。 利回りは過去の実績または現時点の水準であり、将来の成果を約束するものではありません。

      Wealth gap

      資産形成の格差は、制度の使われ方に出ている

      まず、格差はどれくらいあるか(全62区市町村)

      その格差は、制度の使われ方に出ている

      Yen carry trade

      円キャリートレードは、どう儲かって、どう損するのか

      ここまでは「自分のお金で外貨の債券を買う」話でした。円キャリートレードはそこに借入が加わります。安い金利の円で借りて、高い金利の通貨に替えて運用し、返すときの差額を取る。儲け方と損の出方を、100万円・1年で追いかけます。

      こうして儲かる
        こうして損する

          為替がどう動くと、いくらになるか

          元手100万円を1年運用した場合の損益。右の列は、同じ元手で3倍の額を動かした場合(借入を上乗せするレバレッジ)です。利益も損失も、そのまま3倍になります。

          「円安傾向だから基本は儲かる」は本当か

          Narrow it down

          条件から、使える制度を絞り込む

          目的・期間・為替リスクの許容度を選ぶと、制度の事実に照らして到達できるものだけを残します。銘柄や商品を推奨するものではありません。判定は下に書いた条件式のとおりで、根拠も一件ずつ表示します。

            本サービスは投資助言を行いません。 表示しているのは公開統計から取った利回りの実測値と、制度上そこに到達できるかどうかの事実だけです。 個別の銘柄や商品の推奨、購入時期の判断、お客様の状況に応じた助言は一切含みません (金融商品取引法上の投資助言・代理業には該当しない設計です)。 実際の投資判断は、目論見書・契約締結前交付書面をご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。
            Routes for residents

            都民の資金が届く経路・届かない経路

            都内勤労者世帯の月次の残額は 円(東京都統計年鑑 14-2)。その資金が実際にどこまで届くのかを、制度ごとに並べます。

              資産格差を「入口の差」として見る。 資産の格差は、持っている額の差であると同時に、使える入口の数の差でもあります。上の一覧のうち個人が単独で到達できるのは国債・上場株式・投資信託と外貨建て都債まで。 非上場の中小企業(社)へ資金を届ける経路は、株式投資型クラウドファンディングの年間上限50万円を除けば実質的に開いていません。 円建ての個人向け都債は年間途絶えたままで、いま出ているのは為替リスクを個人が負う外貨建てのみです。 本サービスは所得階層別の資産データを持たないため、格差の大小そのものは推計しません。 代わりに「誰でも同じ条件で使えるか」を制度の事実として並べ、入口が閉じている箇所を可視化することを役割にしています。
              制度を使わないまま1年で取りこぼしている額 条件を選ぶと、あなたの場合の金額を計算します

              ここまでの画面で、資産形成の格差が制度の使われ方の差として表れていることが分かりました。 利用率は所得と r=0.80 で連動し、自治体間で2.5倍の開きがある。 だとすれば、埋めにいくべきは知識と手続きの側です。 この画面は「あなたが使える制度と、使わないことで失っている金額」を計算する道具です。 計算式はすべて画面に出します。

              Tool A — for residents

              資産形成の入口チェッカー

              4つ選ぶだけです。入力した内容はこの画面の外に出ません(通信を一切行いません)。

              使える制度と、1年あたりの節税額

              所得控除による節税は、運用がうまくいくかどうかに関係なく確定します。ここが最初に取りにいける部分です。

              満額使い続けたら、いくらになるか

              Tool B — for business owners

              借入金利の立ち位置チェック

              いまの借入条件が、都内中小企業のなかでどのあたりにあるかを確かめます。金利が上がったときの負担も先に見ておきます。結果は「事業者:資金調達」の相談メモにそのまま使えます。

              Where the numbers point

              この数字が制度に返すもの

              ツールを使うと、個人の努力では動かせない部分がはっきりします。そこは制度側の論点になります。本サービスからの指摘であり、東京都の方針ではありません。

                Engine

                判定ロジック(全文)

                ブラックボックスを作らないことを設計方針にしています。以下がこのサービスの判定式のすべてです。

                記号定義用いる系列
                  事業体力スコア= 50 + 0.62 ×〔 2.2·M + 1.4·E + 0.5·(L+25) + 0.6·S + 0.5·P 〕(2〜98に丸め)。
                  承継緊急度= 0.6 ×(経営者70歳以上の割合)+ 0.4 ×(1960年以前創業の割合)。
                  連関= ピアソンの積率相関係数。欠測月は対ごとに除外。加重・しきい値はいずれも設計判断による任意の値で、生データから誰でも再計算できます。
                  Provenance

                  利用データセット

                  取得元URLと、このサービスでの使い道を一件ずつ明示しています。

                    Full table

                    24業種 判定一覧

                    L=業況水準、M=モメンタム、P=価格転嫁ギャップ、E=期待ギャップ、S=売上高DI。

                    Full table

                    承継データ 全行

                    経営者年齢・創業年の構成比(%)。各行の合計が100%になることを検算のうえ採録しています。